【図解あり】マンション管理人とフロントマネージャーの違いとは?

マンション管理人とフロントマネージャーの違いとは?

 マンション管理人は、定年退職後など中高年の転職先として人気です。マンションにはさまざまな年齢層や生活スタイルが異なる人たちが住んでいます。このような集合住宅を管理するにあたって、中高年が持つ豊富な社会経験は貴重であり、管理人として歓迎される理由でもあります。

 マンションを管理する職にはさまざまな名称があり、違いがよくわからないというケースも少なくありません。特に「マンション管理人」と「フロントマネージャー」は細かな違いが多いため、わかりにくいのが実情です。転職や社会復帰にあたって、これらの仕事を検討する際には違いをよく把握しておく必要があります。

 この記事では、両者の違いと仕事内容、勤務形態について解説するほか、よくある疑問をQ&A形式で紹介します。

 

マンション管理人とは?

マンション管理人とは?

 マンション管理人とは、住民が安心して快適に暮らせるように管理やサポートをする人です。一般的には管理会社に所属し、管理するマンションに派遣されて実務を担います。代表的な業務内容はマンションの点検、清掃、業者による設備点検の立ち合いなどです。

ハード面の管理に関する業務が多い一方で、入居者からの相談や苦情の受付もマンション管理人が行っています。受け付けた内容は管理会社に報告するなど、入居者と管理会社をつなぐ役割も担います。

通路やエレベーターなどの共用部分がいつもきれいなこと、照明が切れることなく点灯していること、寒冷地では降雪時でも駐車場などが除雪されていることは、マンション管理人が業務を担っているためです。

マンション管理に関わる資格

マンション管理に関わる資格

 一口にマンション管理人といっても、担う仕事によって職種が分けられています。マンション管理人の仕事は多岐にわたるため、それぞれの仕事に専門性が求められることも少なくありません。ここではマンション管理に関わる3つの資格について解説します。

◎マンション管理員検定

 マンション管理員は一般的に「マンション管理人」といわれる職種です。マンション管理員になるために必須の資格はありません。一方で「マンション管理員検定」という民間資格があります。マンション管理人の職は人気があり、募集があっても選考になるケースが少なくありません。

 この資格を取得しておけば、マンション管理におけるひと通りの知識を持っていることをアピールできます。マンション管理員検定の勉強をすることで、これらの専門的な知識を身につけることも可能です。

◎マンション管理士

 マンション管理士は「マンション管理士試験」に合格し、登録を受けた専門家です。管理人よりも専門的な知識が必要であり、管理組合の立場から区分所有者である住民に対して、助言や指導を行います。管理規約や使用細則など、ルールに基づいてアドバイスにあたるなど、いわゆる「管理人」とは仕事内容や役割が異なります。

 マンション管理士が有する知識は、管理組合の運営やマンションの維持・管理に関することです。いずれも助言や指導を行うにあたって必要な知識であり、ときには住民間のトラブル解決に向けて予備的交渉を行うこともあります。

◎管理業務主任者

 管理業務主任者は「管理業務主任者試験」に合格し、管理業務主任者証の交付を受けた国家資格者です。マンションの管理事務における2年以上の実務経験がない場合は、試験に合格した後に登録実務講習を受講して修了試験に合格する必要があります。

 管理業務主任者が行う主な仕事は、管理組合等に管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務の報告であり、いずれも管理業務主任者の資格がなければ行えません。組織形態としてはマンション管理員をまとめ、指導する立場であり、上長にあたります。マンション管理における責任者と考えていいでしょう。

マンション管理人の仕事内容とは?

マンション管理人の仕事内容とは?

 マンション管理人の仕事内容は、マンションによって異なるのが実情です。すべての業務を担うこともあれば、業務が細分化さていることもあります。ここではマンション管理人の仕事内容について業務別に解説します。

●受付業務

 受付はマンションへの訪問客や居住者への対応、電話対応、利用申込者の受付などが主な業務です。キッズルームやゲストルーム、駐車場などがあるマンションでは、利用者や利用時間などの確認、管理も行います。

 柔和な対応が求められる一方で、不審な訪問客がいないか、居住者からの申し付けを間違いなく手配できているかなど、細かな神経を使うことも少なくありません。トラブル発生時には初期対応の窓口となるケースも多く、苦情に対しても的確に対応します。

●清掃業務

 清掃はマンションの共用部分を清潔に保つことが主な業務です。駐車場やエントランス、廊下、階段、エレベーターなど、マンションには多くの共用部分があります。掃き掃除はもちろん、汚れが目立つ箇所は拭き掃除や高圧洗浄機などを用いて大規模な清掃を行います。降雪時は除雪も重要な業務です。

 中庭や公園などがあるマンションでは植栽の水やりや草取り、遊具の清掃も行います。ほかにも水路の溝や窓ガラスの掃除など、共用部分全体をくまなく掃除し、美しい外観を維持します。

●点検・巡回業務

 点検・巡回業務はマンションの状況を常時把握し、異常がないか確認します。電灯が切れていないか、エレベーターや自動ドアは正常に動いているか、消防設備は所定の場所に備わっているか、分電盤は異常なく作動しているかなど、点検項目は多岐にわたります。

 どの点検項目も住民が安心して暮らすためには不可欠であり、くまなく点検することは建物自体を守ることにもつながります。常に万一のケースを想定して十分な対処ができるよう、設備を整える重要な業務です。

●報告業務

 基本的にこれまで解説してきた業務には、すべて報告業務が伴います。点検結果や住民からの苦情、トラブルなど、マンションの所有者に対する報告はもちろん、注意事項やマンション管理組合からのお知らせなど住民に対する報告も大切な業務です。

 住民に対しての報告では、文書の配布や掲示を行うのが一般的です。緊急時の連絡先や天災発生時の対処など重要度の高い報告は、一戸ずつ訪問して文書を配布することもあります。

マンション管理人の勤務体系は?

マンション管理人の勤務体系は?

 マンションに住む人の生活スタイルはさまざまです。通勤や通学する人々が行きかう時間は朝早く、夜遅くということも多く、マンション管理人もそれに対応する勤務形態をとっています。ここではマンション管理人の勤務体系について解説します。

●住み込み勤務

 住み込み勤務は、マンションの一室に住んでマンション管理人の業務を行います。メリットは居住する場所が確保されていること、トラブル発生時でも大きな時差なく対応できることなどです。家賃や光熱費は、会社が負担するケースが多く、金銭的な負担が少ないという特徴があります。

 中には夫婦での住み込みを募集する求人もあり、転職と同時に夫婦で引っ越してマンション管理人となる人もいます。そのマンションを自分の生活圏として考えるのであればメリットの多い勤務体系です。

●常駐勤務

 常駐勤務は、担当のマンションに通勤して業務にあたります。一般的な通勤と大きな違いはありません。勤務時間や出勤日数は、正社員やパート、アルバイトなど雇用形態によって変動します。一人ひとりの勤務時間や出勤日は異なるものの、シフトを組んで切れ目なく人を常駐させるのが特徴です。

 家から通勤するために生活スタイルを大きく変えることもなく、拘束時間も限られていることから、一般的な会社勤務に近い感覚で勤務できます。

●巡回勤務

 巡回勤務は、管理人を常駐させずに定期巡回でマンションを管理する勤務体系です。規模の小さなマンションに多く、常駐勤務と比較してコストが低いという特徴があります。

 巡回の回数は週に2、3回のケースが多く、管理人が複数のマンションを掛け持ちして勤務することも少なくありません。パートやアルバイトとしての求人が多く、給料は時給制がほとんどで、はじめてマンション管理人の仕事をする人や、短期、短時間の勤務を希望する人でも可能です。

フロントマネージャーとは?

フロントマネージャーとは?

 分譲マンションには住民で構成される管理組合があります。フロントマネージャーはマンションの管理会社から配置され、管理組合の運営サポートを行います。管理会社と管理組合の間にフロントマネージャーが存在するイメージで、管理人業務と兼務することも少なくありません。

 マンションの運営は専門的な知識が必要なため、管理組合の人がみずから管理を行うのは難しいのが実情です。そのため管理会社に委託して建物の維持や管理を行います。

 一方で管理組合が直接管理会社とやり取りするのは、現状の把握など難しい点が多々あります。そのためマンションに配置されたフロントマネージャーが窓口となって、両者間のやり取りがスムーズに進むようサポートします。

フロントマネージャーの仕事内容とは?

フロントマネージャーの仕事内容とは?

 フロントマネージャーはマンションの運営に関わる幅広い業務のほか、管理人の監督も行います。そのマンションの運営が円滑に進むかどうかはフロントマネージャーにかかっているといっても過言ではありません。ここではフロントマネージャーの仕事内容について解説します。

●事務業務

 事務業務は資料や記録の作成などです。管理組合の活動記録やプレゼンの資料作り、管理規約やルールブックの作成など、住民の意見をまとめたり、ルールを徹底する仕組みをつくったりすることは非常に重要な仕事です。一方で工事や修理の見積もりをとったり、修繕プランを作成したりとハード面のメンテナンスに関する仕事も欠かせません。

 また日々変化する住民の構成や時代の流れに応じて、マンションの運営方針を見直す必要が出てくることもあります。

●マネジメント業務

 フロントマネージャーは管理人の上長でもあります。日常、住民と接する機会が多いのは管理人であり、管理人の接し方に問題があると住民からのクレームにつながりかねません。そのため接客マナーや業務に関する指導など、管理人を育成することも重要な仕事です。

 住民に会ったら挨拶をする、笑顔で接するといった基本的なことはもちろん、勤務時間内に定められた業務を正確に行うことは、管理人のみならずフロントマネージャーの評価になることも少なくありません。

●折衝業務

 折衝業務にはフロントマネージャーが有する専門的な知識が必要不可欠です。自治体や近隣住民とのやり取りはもちろん、昨今ではマンションの住民をターゲットとしたフードトラックなども増えてきており、外部とマンションの住民がトラブルなくつながれるようにサポートをします。

 また住民の中には管理費や修繕積立金を滞納する人もいます。これはマンションの運営に関わる問題にもなり得るため、フロントマネージャーが催促して納入するよう求めます。

●設備や建物の維持管理

 設備や建物の維持・管理は、フロントマネージャーがみずから行う場合と、メンテナンス業者を手配する場合があります。特別な資格が必要ない清掃などは管理人が行うため、基本的には業者関連の手配と日程の調整が主な業務です。

 マンションにはエレベーターや消防設備など、定期的な点検が必要な設備が数多くあります。これらを漏れることなくメンテナンスすることは非常に重要です。万一に備えて安心・安全な状態を保てるよう、ミスのない仕事が求められます。

●理事会・総会の運営サポート

 マンションの管理組合では理事会や総会が定期的に行われます。しかしこれらを管理組合に任せきりにしてしまうと、住民同士のもめごとが起きたり、管理会社と管理組合が衝突してしまったりなど、トラブルに発展する可能性も否めません。

 できるだけ多くの住民に参加してもらうため、開催場所や開催時刻を調整したり、議案書や議事録を作成したりと準備の段階から多くの仕事があります。当日は自分も出席し、進行役として住民の意見を取りまとめる役割を担うこともあります。

 

フロントマネージャーの勤務体系は?

フロントマネージャーの勤務体系は?

 フロントマネージャーの勤務体系は、常駐勤務か住み込み勤務が多くを占めます。管理人とは異なり、正社員として働くケースが多く、勤務時間も比較的長いためです。ここではフロントマネージャーの勤務体系について解説します。

●通勤勤務

 通勤勤務は家から当該マンションに通勤して、業務が終了したら退勤します。勤務時間はマンションによって異なり、勤務スケジュールに沿って業務にあたります。一般的な会社勤務と大きな違いはないものの、フロントマネージャーとしての仕事を限られた時間内に業務をこなす必要があります。

 終業間近にトラブルが発生したり、総会などの日時が自分の都合と合わなかったりすることも多く、スケジュールをうまく調整しながら業務を進めていくことが大切です。

●住み込み勤務

 住み込み勤務は業務場所が常に確保されているため、業務に集中しやすいという特徴があります。夫婦での住み込みでは一方がフロントマネージャーとしての仕事を担い、一方が管理人や調理人として働くケースも少なくありません。

 通勤の手間と時間がかからず、突発的なトラブルにもすぐに対応できるといったメリットがある反面、職場が住まいを兼ねることに抵抗を感じる人もいます。しかし長く勤務することで住民との交流が深まるといった精神的な充足感を得られることもあります。

【マンション管理人とフロントマネージャー】よくある質問

【マンション管理人とフロントマネージャー】よくある質問

 マンションの管理人については、管理会社やマンションによって呼称や業務内容が異なることもあり、実態がよくわからないというケースもあります。ここではマンション管理人についてのよくある質問に回答します。

Q.どんな人がマンション管理人に向いているの?

A:お世話好き、きれい好きな人が向いています

 実際のところマンション管理人が担う仕事は、住民とのコミュニケーションや清掃が大きな比重を占めます。そのため人のお世話が好きな人や、掃除が苦にならない人が向いています。

 本来の業務内容ではなくても、住民からの相談にのったり、頼みごとを聞いたりすることで関係性がよくなり、マンション管理に活かせる住民の声が聞けることも少なくありません。住民が気持ちよく暮らすためには、清掃スケジュールになくても「気づいたら掃除する」という心がけも大切です。

Q.どんな人がフロントマネージャーに向いているの?

A.コミュニケーション能力があり、正確で素早い仕事ができる人が向いています

 住民やメンテナンス業者、管理人など、外部との接触が多いフロントマネージャーの職務は、円滑に仕事を進められるよう、コミュニケーションを密に取ることが求められます。一見、業務に関係ないような雑談でも、会話の中から改善すべき問題点が見つかることもあるため、誰とでも分け隔てなく会話することが大切です。

 一方でフロントマネージャーは複数のマンションを受け持つことも多く、担う業務の幅も広いため、正確かつ素早く仕事をこなす業務スキルも必要です。

 

【まとめ】

 マンション管理人やフロントマネージャーは、マンションの住人にとって非常に重要な存在です。共有部分がいつもきれいで、安心して住める場所を提供するこれらの仕事はとてもやりがいがあり、魅力を感じている人も多いでしょう。

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